はなの病気-耳鼻咽喉科の病気 | 西宮市の耳鼻科 星野耳鼻咽喉科
Nose Disease
Nose Disease
鼻は呼吸をする際に空気が通る呼吸器の機能、においを感じる(嗅覚)機能、さらにホコリやウイルスが入ることを防ぐフィルターの役割や空気中能力湿度・温度を調整し肺や気管を守る役割をしています。
【主なはなの病気】
副鼻腔炎(蓄膿症)、アレルギー性鼻炎、鼻骨骨折・顔面骨骨折、鼻前庭炎、鼻出血、鼻中隔弯曲症、嗅覚障害 など
副鼻腔炎とは、鼻腔の奥に広がる副鼻腔という空洞に膿汁や浸出液が貯留する病気です。
多くは風邪などの上気道の感染を契機に、鼻粘膜から副鼻腔に炎症が波及することで発症します。
鼻がつまる、頭がいたい、黄色い鼻汁がでる、痰がでる、嗅いがしない、鼻汁がのどに流れるといった症状が一般的です。
また、のどに流れる鼻汁により湿った咳が長引くこともあります。
発症から4週間以内のものを「急性副鼻腔炎」、3カ月以上持続する場合を「慢性副鼻腔炎」と定義します。
慢性副鼻腔炎の多くは細菌感染が原因となりますが、細菌性以外に真菌性(カビ)や、歯性(歯の感染が原因となる)、アレルギー素因の関与など様々なタイプがあります。原因に対する治療や適切な抗菌剤、局所処置により多くは改善しますが、手術が必要となる場合もあります。CT検査による病変の評価がとても重要となります。
アレルギー性鼻炎、は「季節性アレルギー性鼻炎」と「通年性アレルギー性鼻炎」に分けられます。
季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)はスギ、ヒノキ、イネ、カモガヤといった植物の花粉によるものが代表的です。
一方、通年性アレルギー性鼻炎は、季節と関係なく年中症状が持続します。ダニ、ハウスダスト、カビ、ペットの毛によるものが代表的です。
アレルギー性鼻炎の患者数は現在も増加傾向であり、国民の約2人に1人がアレルギー性鼻炎に罹患しているとされます。
季節性アレルギー性鼻炎は花粉飛散時期に、通年性アレルギー性鼻炎は1年を通じて鼻汁、鼻閉、くしゃみ、鼻のかゆみ、目のかゆみなどが出現します。症状が強いと、生活や睡眠の質の低下に直結します。
【治療方法】
まず血液検査を行い、アレルギー反応の原因物質を明確にした上で抗アレルギー薬の内服や点鼻ステロイド噴霧薬を開始します。
近年、スギやダニアレルギーに対して舌下免疫療法というアレルゲン免疫療法が保険適応となりました。
スギやダニのエキスを含んだ錠剤を1分間口の中に保持した後内服します。
約3年ほど継続する必要がありますが、7割程度の方で症状が緩和される他、治療終了後も効果が持続します。
小児であれば喘息への進展を抑える効果も報告されています。
また当院ではレーザー治療も行っております。
スポーツや、交通外傷、転倒・転落などで鼻を強く打った時、鼻の骨が折れることがあります。
鼻骨の形が変形して、外見上の変形を認める場合があります。
程度が強いと、鼻出血や鼻詰まりを認めます。
また骨折した部分を押さえると痛みが増強します。鼻骨の周りの骨も同時に骨折した場合、複視(物が二重に見える)や視力低下、顔のしびれ、口が開きにくいなどの合併症が起こる場合があります。CT検査による病変の評価が重要となります。骨折によるずれが軽度の場合は自然に治るのを待ちます。
外見上の変形がある場合、鼻詰まりがある場合には整復術を行う必要があります。
鼻の入口に近い部分(鼻毛が生えている部分)に炎症がおきた状態です。
鼻の入口の痛みやかさぶた・腫れを自覚します。
鼻をさわりすぎたり鼻毛を抜いたりすることで生じた傷に、ブドウ球菌をはじめとする細菌が感染して発症します。
悪化した場合は「鼻せつ」といって、鼻の入口に近い部分が赤く腫れ上がり、化膿した状態になります。
症状が軽い場合は、抗菌薬を含んだ軟膏を塗れば治りますが、炎症が強い場合は抗菌薬や鎮痛剤を内服します。
鼻粘膜は毛細血管が豊富で、その血管が傷つくと容易に出血し鼻血となります。
鼻出血症の約 9 割の方は、キーセルバッハ. 部位という鼻の入り口から約 2cm の場所が出血源です。
多くの場合は自然に止血されますが、抗凝固薬を内服されている方や高血圧の既往がある方では止血困難な場合もあります。止血が困難な場合は、原因部位の粘膜を電気で凝固し止血します。
上顎癌など鼻腔内にできた腫瘍性病変から鼻出血を繰り返していることもあります。アレルギー性鼻炎のコントロールが悪い状態でも鼻出血を繰り返すことがあります。
鼻腔を中央で左右に隔てているのが鼻中隔で、鼻中隔軟骨・篩骨正中板・鋤骨という複数の骨から構成されています。
軟骨や骨の成長スピードが異なるため、程度の差はありますがほとんどの方は歪んでいます。
鼻中隔が歪んで鼻腔を通る空気の流れが滞る状態を鼻中隔弯曲症と呼び、治療には手術が必要となります。
外見からは評価できないため手術適応の判断にはCT検査が必要となります。
においを感じる嗅細胞は鼻の最上部、嗅裂(きゅうれつ)と呼ばれる場所にあり、嗅神経につながっています。「におい分子」が嗅細胞に到達すると嗅神経を介して脳でにおいを認知します。嗅覚障害は、発症する場所によって3つの病型に分類されます。
1.気導性嗅覚障害
アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎、鼻中隔弯曲症などによる鼻づまりが原因となる。
2.嗅神経性嗅覚障害
風邪やウイルス感染などにより嗅粘膜の嗅細胞が障害されることが原因となる。
3.中枢性嗅覚障害
頭部外傷、脳腫瘍、パーキンソン病、アルツハイマー型認知症などの疾患により中枢神経が障害されることが原因となる。
1、2、3の病型を鑑別するため、まずファイバースコープによる嗅裂部の観察を行います。
嗅覚障害の重症度を調べるために、アリナミン注射をしてニンニクのようなにおいを感じるかどうか評価する静脈性嗅覚検査を行います。
副鼻腔炎や腫瘍性病変を調べるためにCTなどの画像検査も行います。
治療方法は原因により異なりますが、ステロイドの点鼻または内服、ビタミン製剤、亜鉛製剤などを用います。慢性副鼻腔炎が原因の場合は、まず2カ月程度内服治療を行い、改善しない場合は手術の適応になります。